ひろみバイクライフ

バイクに乗ってブンブン言わせます

事故記録

先日、人生で初めて交通事故の現場に立ちあいました。

一緒に長距離ツーリングに出かけていた友人が私の背後でガードレールに衝突、いわゆる自損事故です。私やもう一人の同行者は無傷でしたが、事故を起こした当人は左手小指開放骨折、事故車は損傷が激しく廃車、その他様々な事情が重なったせいもあり旅行は中断となってしまいました。

免許を取って1年半、1万キロ以上を幸運にも無事故で切り抜けて来た私にとってかなり衝撃的な体験でした。後学のためにも当時の現場の様子の記録と事故時の対応についてまとめておきたいと思います。

同行者たちに許可は取ってありますが特定されそうな詳細な部分は省いたりすり替えたりしてあります。

事故発生時の記録

記録なので以下簡潔に常体で書いていきます。

基本情報

【日時】
2022年09月17日(土) 13:30前後

【場所】
兵庫県鳥取県の県境付近 
片側1車線道路、緩やかなカーブ 
交通量:山道にしては多め

【グループメンバー
3名(事故を起こした友人A、同行していた友人B、私)

事故前の動き

当日は朝7:00にAの自宅前に集合。目的地は鳥取県米子市
最初の65kmはA→私→Bの順に千鳥走行する。出発から1時間半後に休憩を挟み、ここで1つずつ順番をずらし、私→B→Aに変更。

12:00すぎに道の駅に立ち寄って昼食をとる。13:00前に道の駅を出発。この時、Bのインカムの調子が悪かったため、Aと私のみインカムを繋ぎ、私→B→Aという昼食前の順番を維持しながら走行。Aと私は必要時のみ会話を行い、そうでない時は基本的に無言だった。

BはAが11:30ごろから車間をやや空け気味にすることが多かったのを気にしていた。

事故発生時

発生時・直後

無音だったインカムのスピーカーから空気の抵抗音に似た物音が聞こえた。吐息がマイクに当たってノイズが発生したかのような、あまり気に止めない種類の音である。その数秒後「ごめん、こけた」とAの声。何を言っているのかわからなかった私はAが再度「こけた」と言うまで事態が掴めず5秒ほど前に進み続ける。ようやく事態を把握し、ミラーで後方を確認するとBが私に止まるよう手を振りながら減速していた。ミラーにAの姿がない。「わかった」とAに返事をし、路側帯に停車。事故現場から200mほど離れた場所である。ヘルメットを脱ぐ際、横を通過した自動車の運転手から「お友達、怪我してる」と情報をもらう。

背負っていたリュックサックは歩道に置き、身軽な状態で事故現場に走って戻る。

現場対応

現場の図

緩やかなカーブの膨らみ部分でバイクが横転し、Aはそのすぐそばにいた。Aの横には20代半ばの男性が寄り添っていた。彼は偶然私たちの集団の真後ろをついて走っていたソロライダーである(彼をCさんとする)。Cさんのバイクは倒れたAのバイクのすぐ後ろに停車していた。

私たちが現場に駆け寄った時、Aは既にヘルメットやグローブを脱いでおり、意識ははっきりしていた。「大丈夫?」と尋ねると「指から血が出てるけど痛くない」とA。左手小指の出血部分を私とBに見せた。小指の先端から第一関節までが鮮やかに赤く染まっている。命に別状はなく、怪我も小指のみ。その場の全員が次の行動に戸惑う。BがAのバイクを起こしできるだけ路側帯側に避ける。
「こけただけなら処置してまた走り出せばいいのでは」とB。「痛くはないんよな、でも感覚バグってるかも」とA。
しかし小指の出血量が擦り剥いただけにしては多すぎる。現場には血を洗い流せるような場所もなかった。さらに言えば横転したバイクの損傷具合も素人目にはわからない。当事者だけでは捌き切れない不安材料があちこちにあった。警察に通報しようと私が判断し、小指だけで……?とやや渋るBには119番通報をするよう指示した。私たちが通報している間、Cさんは持っていたハンカチをAの小指に巻いて止血作業を行い、終わり次第交通整理を担ってくれた。

警察に通報が終わった時点で私とBの2人だけで諸々を対処できると判断したためCさんにお礼を言ってそのままツーリングを続行してもらった。Cさんを見送った後、私は交通整理を行いながら手を使えないAの代わりに保険会社へ連絡を入れ、レッカーを要請した。左手で携帯を持ち右手で交通整理の指示を出す形である。また、この時点までAが車道の車体近くに留まっていたので歩道に避けて動かず安静にするよう指示する。Bは路側帯に停めた自分のバイクを歩道まで避難させるため一旦現場を離れた。Bが現場に帰ってくると交通整理を交代し、私も自分のバイクを路側帯から歩道へと移動させた。

警察到着

私がバイクを移動させている間にパトカー、消防車、救急車が到着。通報して10分弱程度のことである。Bが聞き取りなどの応対を行い、Aは救急車の中に運ばれて処置されていた。私も聞き取りに協力したが、今回の事故はグループ最後尾を走るAが起こしたものであるため私たちは2人とも事故の映像を見ていない。気づいたらAが転けていた、としか言えず詳細な情報を伝えることはできなかった。ただし、警察を待つ間にAが話していた「疲れが溜まってウトウトしていた。いつの間にか道路の凹凸にハマってハンドルを取られ、そのままガードレールに衝突した」という点は伝えた。

Aは病院での処置が必要らしくそのまま救急車で鳥取市内に運ばれていった。

その後、警察と一緒に事故車両の損傷を確認すると、大雑把にでも

・フロントフォークの曲がり
・フロントフェンダーの割れ
・ブレーキレバーの折れ

がみとめられた。曰く、もうまともに動かない可能性が高い、とのことである。連絡先の交換などといった事務作業が終わると警察は帰って行った。私たちはレッカー車が到着するまで待機していたが、しばらくしてレッカー会社から電話があり、わかりやすところに車両を置いてあるならば現場を離れて構わないと伝えられた。Aの搬送先に向かわなければならなかったので現場を離れる。

病院での処置、後日談

バイクでBと共に鳥取赤十字病院に向かう。

赤十字とバイクの記念写真

到着から15分程度でAが処置室から出てきた。左手小指の開放骨折とのことで小指に包帯が巻かれ、手首もテーピングが施されていた。爪は剥いだらしい。診断書や抗生剤をもらって病院を後にした。事故車は着替えが入った荷物やヘルメットと共に鳥取市内の工場へ運ばれたため、Aはタクシーに乗って工場へ向かった。私とBは急遽目的地が変更されたため宿泊先探しに奔走していた(この時すでに17:00頃、さらに3連休初日だったためほとんどのホテルが満室だった)。

18:35鳥取駅でAと合流。「修理費が2-30万かかるので廃車にしてきた」とのこと。その日は鳥取駅前のホテルに宿泊。今後の日程については諸々の都合を鑑みてすべて取りやめとなった。

翌日、Aは事故の書類手続きのために鳥取と兵庫の県境にある警察署まで電車で向かった。朝8:00前に鳥取駅を出発。Bと私は午前中のみ鳥取観光を楽しみ、午後は各々別の帰路につくため解散した。

事故対応マニュアル

ここからは結局どう動くのがベストだったのか、マニュアルを参考にしながら答え合わせしていきたいと思います。

三井住友保険の事故対応マニュアルがわかりやすかったのでこちらを参考にしながら今回の事故対応を改めて振り返ります。

【事故緊急事対応マニュアル】https://alpha-sp.co.jp/pdf/jiko_manual.pdf

①怪我人の救護

反応→呼吸→出血の順に確認。

今回ははっきりと反応があったので出血のみの確認でした。この時点で真っ先に出血部位を圧迫し、止血しておいた方が良かったかもしれません。

②二次災害の防止

ガソリン近くで火(発煙筒を含む)を使わないのはもちろんのこと、二次災害の恐れがある場合は車両を移動させる。二次災害の恐れがない場合は事故現場を保存する。

 →二次災害の恐れがないとき

 ハザードランプをつけたり停止表示機材を置くなどする。

 →二次災害の恐れがあるとき

 安全な場所まで車両を移動させ、エンジンを切る。その後は上に同じ。

二次災害防止措置を取ったら安全な場所に避難する。

今回やり忘れたのはハザードをつけることでしょうか。また、はじめ私とBの車両を路側帯に置いていましたが、最初からもう少し安全な歩道に置けた方が良かったかもしれません。

③警察へ連絡

いつ、どこで、事故内容などを申告する(詳しくはマニュアル参考)。

通報は基本的に警察の質問に答えるだけでいいです。場所を伝えるのに少しまごついたので周囲の建物などをよく見て把握するといいと思います。困ったら電柱番号(地面から3mほどのところにあるプレート)を伝えましょう。

④相手の確認

事故相手と現場で口約束することだけは避ける。名前、住所、電話番号、ナンバーを記録する。

今回は自損事故なので不要でした。

⑤目撃者の確認

周囲に目撃者がいる場合は、後日のために 連絡先を確認しておく。

今回はCさんの連絡先を聞きそびれました。事故の規模があまり大きくなかったので許容範囲な気もします。

⑥保険会社に連絡

事故の日時、場所、状況、届出警察署などを伝える。

反省・まとめ

以上、事故対応マニュアルでした。反省点をまとめると

  • 事故後すぐにAを安全な場所に移動させなかったこと(車道の事故車付近に留まらせてしまった)
  • その場にいた全員の判断能力が落ち、通報をやや躊躇ってしまったこと
  • 目撃者の連絡先を聞きそびれたこと

このあたりだと思います。事故を起こした当人の「大したことない」「痛くない」は判断材料に用いてはならないことがよくわかりました。至極当然の話なのですが、事故が起きたら迷わず110が大原則です。

しかし対応の良し悪しは別として、Aの怪我が比較的軽症であったこと、巻き込まれなどといった二次的な事故が発生しなかったことの二点を考慮すると、結果的には不幸中の及第点くらいには収まっているのではないでしょうか。

そもそもの前提として、マスツーは自分のペースで走ることが難しいため、メンバー全員の体調がベストでなければなりません。疲労・眠気を素直にメンバーに伝えること、車間距離やブレーキングの様子から他メンバーの体調に気を配り、無理をしていないか尋ねることなど事故を未然に防ぐ行動もちゃんと心がけたいと思いました。

今回のことでバイクが恐ろしい乗り物であるという事実を改めて突きつけられ、乗るのが少し怖くなりました。とはいえ事前の準備や安全面に対する配慮を行えばリスクはちゃんと抑えられるはずなのでバイクから降りる気は毛頭ありません。ブンブン1号と見に行きたい景色がわんさか残っていますから。

ちなみにAは異様なまでのポジティブ野郎なので(しっかり反省した後)既に次のバイクの購入計画を立てています。彼が完治したら反省を踏まえてみんなで一緒にリベンジを果たしたいです。