ひろみバイクライフ

バイクに乗ってブンブン言わせます

2022.10.30_岡山国宝建造物巡り

物心ついた頃からコミュニケーションが苦手でした。中二病だ社会不適合だと笑ってくれても構いません。私なりに改善の努力はしてきましたが憔悴するばかりです。

自分をさらけ出すことも剥き出しの人間を見ることもうまくできずに疲れ、恐れ、しまいには逃げてしまう癖がついてしまいました。人間の個という刺激が強すぎて真正面から直に触れられないのです。

その点、知を使ってコミュニケーションを図るタイプの人間のことを勝手に好ましく思っています。その人が語る知識を寄せ集めて、それを媒介に、間接的に人となりを感じるくらいが私にとってちょうどいいからです。また、そういう人たちは個を剥き出しにできずに知識という代替手段でなんとか補おうとしている感じがして、その不器用さやめんどくささに勝手ながら親近感すら覚えます。

特に得体の知れない初対面の人間と話す時「何をした」「何ができる」みたいな個人に迫った話をするよりも、互いの持つ知識を投げ合う会話をする方が心地良かったりします。それが果たして会話と呼べるかはさておき。

先日仕事先でそんな心地よい方に出会えました。車でご一緒した小一時間、絶え間なく岡山の文化財や歴史の知識を披露してくださって久しぶりに仕事先の方と楽しく接することができました。会話中「岡山には国宝建造物が2つある」とうかがい、無性に見に行きたくなりました。

というわけで今回は岡山の国宝巡りをします。

スケジュール

2022年10月30日(日)

出発 10:30
到着 17:46

総移動距離 203.7km

ルート

目的地

①ともひろ(お好み焼き屋)

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閑谷学校

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吉備津神社

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走行ルート

日記

①ともひろ(お好み焼き屋)

まずは腹ごしらえに日生でカキオコをいただきました。11月から3月が牡蠣シーズンです。

カキオコ 900円

バイクに乗ると風がやや肌寒くなってきたこの頃。熱々のお好み焼きが沁みます。牡蠣が余すところなくお好み焼きを埋め尽くし、ソースの味に全く隠れてくれません。牡蠣ってなんだかんだ言ってカキフライと酒蒸しくらいしか食べたことがないのでまた新たな一面を知った気分です。美味しかった。

閑谷学校

岡山の国宝その1。1670年、備前岡山藩主・池田光政が日本で初めて庶民のために開いた学校です。

ご立派な正門

現在の講堂は光政の意思を引き継いだ次代藩主が1701年に完成させたもので、約300年前に建てられたとは思えないほど綺麗な姿をとどめています。

モザイクのような赤瓦がおしゃれ

それもそのはず、講堂が末長く保存されるための工夫が敷地のあちこちに施されていました。瓦には耐久性・耐水性に優れた備前焼を使用し、内部の木材には腐敗を防ぐため漆が塗られ、隣接する寄宿舎で万一火災が起こった時のため火除山(ひよけやま)に守られています。
水捌けにも細心の注意が払われています。例えば芝生の校庭に点在するこちらの謎石スペース。

「吸いこみ井戸」という

実は敷地の地下に暗渠が張り巡らされていて、この吸い込み井戸から雨水が地下に流れ込み、最終的に敷地外の小川に流れるようコントロールされていたのです。他にもここでは書き切れないほどたくさんの技巧が建物や敷地内に張り巡らされています。日本最初の庶民学校という歴史的背景もさることながら、その建築美、工夫も非常に見応えのある場所です。

さて肝心の教育内容ですが、孔子思想、儒学が教授されていました。講堂は現在も県内小中学校の校外学習等に使用され、論語を読む声が響きます。

アーチ状の窓は花頭窓と言い、ここから取り入れられる自然光のみで授業を行っている

また、講堂の側には孔子にゆかりのある中国産の木・楷が植えられています。閑谷学校にある木は孔子墓所から種を採取してきたものです。

秋が深まると見事に紅葉する。これからが観光シーズン。

講堂の奥、火除山の横を通ると旧寄宿舎跡に閑谷学校資料館があります。

ピンク色がかわいい素敵な建物

こちらでは備前岡山藩主・池田家についてや閑谷学校の沿革、文化財等がテーマごと、7つの展示室にわかれて紹介されています。展示を見た後にもう一度講堂に戻ると発見があって面白いです。

最近人生に迷走しているのでお土産に論語傑作集「あいうえお論語」を買いました。

210円。超お手軽。

読んでいると背筋が伸びるありがたいお言葉ばかりです。しばらくは心のバイブルにしておきます。

吉備津神社

岡山国宝その2。桃太郎のお話のもとと言われる吉備津彦の温羅退治神話が伝承されています。

www.kibitujinja.com

今の本殿・拝殿は600年前、将軍足利義満の時代に約25年の歳月をかけて建設され、1425年に完成しました。拝殿の奥行き、重厚感がその辺の神社の比ではありません。

写真では伝わりづらいこのでかさ

本殿は比翼入母屋造という日本で唯一無二の建築構造を持ちます。その名の通り入母屋破風が二つ連なっているのが特徴です。

屋根の存在感

上にばかり目が奪われてしまいますが、土台となる白漆喰で築いた亀腹もどっしりとして立派。

千木がめちゃくちゃかっこいい

荘厳な拝殿・本殿も素敵ですが、吉備津神社にはもう一つ見所があります。拝殿右手を進むと突入する、全長400mにもなる回廊です。

長すぎて先が見えない

脇には摂末社が立ち並び、薄暗さも手伝ってやや不気味な印象を受けました。

外から見るとこんな感じ

こんな長い回廊、なかなかないと思うので歩くだけでも結構な価値があると思います。ひたすら同じ景色が続くので夕暮れ時に行くといい感じにSAN値が減りますよ。

総括

閑谷学校吉備津神社共に国宝という名を背負っているだけのことがあって重みを感じる建造物でした。双方とも岡山観光に是非、と勧めたくなるボリュームです。

ツーリングテーマが枯渇してきたところだったので国宝建造物巡りはありだなあと思います。そろそろ笠岡出張が終わるので関西に戻ったら奈良を中心にまわりたいです。

さて後日、国宝のお話をしてくださった方への連絡の追伸に国宝を見てまわった旨を添えたところ、「少し雑談が過ぎたかもしれないと反省しておりました」と返信が来ました。例えコミュニケーションの加減が下手でも、その自覚があってどこか憎めない謙虚な知識人に私もなりたいものよなあ。