ひろみバイクライフ

バイクに乗ってブンブン言わせます

初心者洗礼京都-新潟耐久ツーリング①

皆さんは死ぬまでにひと目見ておきたい景色はありますか。

『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』なんてタイトルの本があります。日本編と世界編があり、全世界全国津々浦々の雄大な景色が各ページに並んでいる写真集です。ご親切にアクセス方法や現地の観光情報まで掲載してくれている丁寧な構成。ページをめくるごとに感嘆の声が漏れ出る素敵な一冊です。

こういった本を見るだけでも、十分に心が高鳴り楽しいのですが、しかし写真で提供されるのはあくまで視覚情報のみ。やはりここはタイトル通り現地まで足を運ぶことにこそ意味があると思われます。匂いや音、そして実際に己の身体を置くことでしか得られない現実感。それらを得るために我々は旅に出るのです。嗚呼バイクに乗りたい。
などと思いながら本をパラパラとめくっているとなんだか素敵な写真発見。

新潟県清津峡。

ここに行きましょう。
渓谷っていいですよね。荒々しい岩肌や谷間に反響する流水音が物語る大自然のダイナミックさ、過酷さ、そしてそれらが肌にピリピリと伝わってくる緊張感が好きです。普段街中で生活していては味わえない自然への畏怖の念を思い起こさせてくれます。ある種怖いもの見たさに近いですね。

早速今回の旅の計画を立てていきます。
今回はお友達2人も誘って3人でのツーリングです。3人ともバイクでの長距離ツーリングは初めてということもあり、旅程がずれることも念頭に置きつつ、あまり目的地はたくさん設定しないようにしよう、という意見でまとまりました。

大まかな日程

1日目(9/4):移動(京都市糸魚川市←今回の記事
2日目(9/5):清津峡周辺ツーリング
3日目(9/6):糸魚川観光(具体的目的地未定)
4日目(9/7):移動(糸魚川市京都市

1日目 京都〜糸魚川移動

若さとはすなわち無謀さ。無知は使い方次第で武器になる。
何が言いたいのかおわかりでしょうか。

京都から糸魚川の宿まで計400km、その長さ・険しさを完全にナメてました。
Google先生曰く、単純計算で所要時間7時間半。ということは朝8時に出発すれば休憩含めて運転10時間程度、暗くなる前に着きそうですね、やったぜ。

とはいかんのだよなあ、現実は。

1日目は運転ばかりで写真を撮れなかったため、ほとんど文章でお送りします。

スケジュール

2021年9月4日
出発 8:00ごろ
到着 21:10

ルート

目的地:能生の家(宿泊地)

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国道1号〜国道161号(湖西道路)〜国道8号〜能生の家

1. 京都〜道の駅河野

国道1号線から滋賀県に入り、琵琶湖湖西道路をビュンビュン飛ばしていきます。天気は薄暗い曇り空。雨が降らないようにと祈るしかありません。行き道はとにかく到着することが目標なのであまり多くの場所には立ち寄らない計画です。白髭神社を横目に見つつ先を急ぎます。水面から飛び出てる鳥居がかっちょいい。

滋賀県をあっさりと抜けて福井県突入。
日本海沿岸の国道305号線は別名しおかぜラインと呼ばれる快走路らしいのですが、落石による通行規制で通れませんでした。ぜひ通りたいと思っていたのでまたいつかリベンジする所存。

というわけで国道8号を通って道の駅河野に到着(10:50)。出発から大体110kmです。

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今回一緒に旅するバイクたち。手前からVTR250、CB250R、Bandit400V。ヒャッハァ

晴れたら相当綺麗な景色でしょうね。奥に見ゆるは日本海です。

ベンチに座ってちょっと休憩。
あれ、なんか結構疲れた。あと300km弱残ってるってマジですか?新潟って遠くない??

もしかして:旅程無謀すぎ

このあたりから薄々危機感を感じ始めます。何を隠そう私は10年間美術部員の引きこもりもやしっ子。体力には自信がありません。15分だけ仮眠をとってHP回復。短時間とはいえ仮眠の効果は絶大。かなり頭がクリアになりました。気を取り直して出発です。

2. 道の駅河野〜昼食(マクドナルド8号線丸岡店)

鯖江市や福井市といった市街地を貫く国道8号線を走り抜けていきます。福井の適度な発展具合に各々己の故郷を思い出します。「この光景は我が故郷、奈良市ではないか?」と奈良出身のご友人二人は盛り上がるなど。私の地元大分市福井市の足元にすら及ばないのでイマジナリー郊外に想いを馳せてました。

ちなみに今回の旅は全員インカムをつけて会話しながら運転しました。前後の道路状況や目についたものを即座に共有できるのはとても便利です。インカムがあるだけで旅の楽しさ・快適度が3倍になります。Amazonで1万弱くらいで買えるお手軽なもので十分機能するのでありがたい。

さて、お腹が減ってきたので昼食の場所を決めよう、となったのですが、あまり贅沢するような気分にもならないため、国道沿いのマクドに適当に入ることに。道路沿いにすき家、王将、マクドフルコンボで出迎えてくれました。いいぞいいぞ。雑な食事で済ませるのも運転に特化した旅ならではではないでしょうか(?)
ぱぱっとエネルギー摂取してぱぱっと出発。

3. マクドナルド8号線丸岡店〜道の駅めぐみ白山

国道8号線を辿っていきます。糸魚川までずっと続いているので迷わず便利です。そしてバイパスが長い。信号がなく、アクセル開き気味ノンストップスピードに乗って風を切ります。BGMは[Alexandros]「風になって」で。とはいえバイクは風圧が身体の負担になるので車ほどはスピードを出せません。

運転中目についたものたちをいくつかメモします。

  • 8番ラーメン

    この旅を通してはじめて見たお店なのですが、とにかく頻繁に出現する。それもそのはず。調べてみたら、8番ラーメンの「8」は8号線の8だとか。石川県加賀市で創業し、国道8号線沿いに出店したようです。北陸を中心に展開しているファミリー向けっぽいラーメンチェーン店。謎に海外の方が店舗数が多いのが気になります……。[国内 118店、海外 149店(2021年9月6日時点)]

    毎日新聞でこんな記事も見つけました。めっちゃタイムリー。

    mainichi.jp

    おお。海外進出しかりカップ麺化しかり、手広く柔軟に動いてますね。再販してくれたら買って食べたいです。

  • 岩本屋
    こちらも北陸を中心に展開するラーメン店。福井、石川、富山の3県にしかありません。ラーメンは背脂入豚骨醤油が看板商品のコッテリ系ですね。北陸は寒いから独自のラーメンチェーン店が発展するのかしら。公式サイト見てたらめっちゃお腹減りました。絶対おいしいやつだと思う。
  • こまつドーム
    バイパス沿いにド迫力で出現してちょっと驚きました。ただのお椀型ではなくて下にキュッとくびれている形がかっこいい。写真がないのでwikipediaの画像参照。

    ja.wikipedia.org

    全天候開閉式の有能ドームですが、設計ミスでプロ野球の公式戦には使えないんだとか……。なんだその報われなさは。悲しい。

以上、8号線 私、気になりますポイントをお送りしました。

道の駅めぐみ白山には15:30に到着しました。運転を始めてかれこれ7時間半。睡魔が再び襲ってきます。加えて雨雲レーダーを確認するとどうやらこの先30分間雨が降るそう。仮眠・休憩と雨宿りを兼ねてしばらくステイしました。とにかくベンチが心地よい。運転中常に張り巡らせていた警戒心を解く瞬間が一番生の実感が湧きます。

4. 道の駅めぐみ白山〜道の駅カモンパーク新湊

雨も止み、日差しが雲の合間から差し込んできました。天候が安定したことに安堵しつつ道の駅めぐみ白山を後にします。しばらくバイクを走らせていると進行方向に大きな虹が!
私ら虹に向かって走ってるぞ!
なんだこの青春は。悪くねえ気分だ。
運転中写真が撮れなかったのが非常に悔やまれます。しかしそこには確かに虹に向かってまっすぐに走る3台のバイクの姿がありました。

5. 道の駅カモンパーク新湊〜道の駅越後市振の関

道の駅カモンパーク新湊についたのが18:00ごろ。日は沈み始めあたりは薄暗くなってきました。おかしいですね、確か旅程ではもうこの時間に糸魚川まで駒を進めているはず……。そうか、旅程は狂うもの。人生の教訓を一つ得ました。

射水市の特産品は白えびらしいです。白えび料理の看板の主張が強くてかなり気になる。白えびバーガー、絶対美味しいやん。この日は販売が終了していたので帰りに必ずここへ寄ろうと誓って道の駅を後にします。

再度バイクを走らせますが乗車時間が10時間を超えるとケツが痛くて仕方ない。最後の方はケツと腰のことばっか考えてました。限界が近い。

6. 道の駅越後市振の関〜能生の家

ここからは私が先頭を走ったのでその恐怖を鮮明に覚えています。
街灯も街明かりもない海沿いの道。加えて夜になると海風が寒い。怖くて涙目なのか、風が目に染みて涙目なのかよくわからなかった。
先の見えない暗い夜道は走るもんじゃないです、本当に。道路状況が不明瞭なのでハンドルをどう切ればいいかわかんない。咄嗟に対応できる反射神経はありませんし、10時間以上運転すると普段以上に判断力は落ちているはずです。死んでもおかしくなかったな、と振り返ってみて思います。
もう能生がこっちに歩み寄ってくれ。フォッサマグナ先輩一発やったってください、と恐怖と寒さにガタガタ震えながら1時間弱走ってようやく着きました!

目的地、能生の家!

3人3台とも無事に合計13時間約400kmの道のりを駆け抜けたわけです。
達成感と疲労がどっと押し寄せてきました。人間、やればできるものですね。最後は気合と根性と友情です。この旅を通してひとまわり成長できたような気がします。これができるならこの先きっとどんな困難だって乗り越えられる。俺たちぁ最強だ。
ごらん、能生の星空がこんなに綺麗(本当に綺麗でした)。

達成感に包まれつつ宿のソファに腰を下ろした瞬間、3人で声を揃えて言いました。

もうこんなことやりたくねえ。

というわけで帰り道を二日に分けた延長戦開催を宣言し、二日目に続きます。