ひろみバイクライフ

バイクに乗ってブンブン言わせます

初心者洗礼京都-新潟耐久ツーリング②

前回のバイクライフ

1日目(9/4):移動(京都市糸魚川市
2日目(9/5):清津峡周辺ツーリング←今回の記事
3日目(9/6):糸魚川観光(具体的目的地未定)
4日目(9/7):移動(糸魚川市→?)
5日目(9/8):移動(?→京都市)←new

新潟の旅二日目

この日は当初の目的たる清津峡ツーリング。1日目の移動で全身の筋肉が悲鳴をあげていますが、そんなことはお構いなしに朝から元気に出発です。

スケジュール

2021年9月5日(日)
出発 9:00
帰宅 19:42

ルート

目的地

①星峠の棚田

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清津

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③龍ヶ窪

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国道8号〜国道253号〜国道403号〜星峠の棚田〜県道560号(魚沼スカイライン)〜清津峡〜国道353号〜国道117号〜龍ヶ窪〜国道353号〜国道253号〜帰宅(能生の家)

日記

星峠の棚田

宿泊場所の能生の家から海岸沿いの国道8号線を通って上越市へ北上して行きます。なんということでしょう。昨日はあんなにも怖かった海岸沿いの道路が朝の光を浴びると潮風香る快走路に。昼間に走る分にはめちゃくちゃいい道路でした。

上越市街地を抜け、車通り少ない山間の緩やかな道を順調に走らせます。1時間半程度で星峠の棚田に到着。

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一面のクソ緑が印象的です。木々の深緑が夏の香りを残す一方で、手前のススキが秋の到来を告げています。まだ少し青みがかっている田んぼは秋が深まるにつれて黄金色に染まっていくのでしょうか。季節の狭間を流れる風はどこか寂しくて肌寒いです。どこで生まれ育ってもこういった原風景に懐かしさを覚え、心惹かれてしまうのはなぜなんでしょう、不思議ですよね。

はい、というわけで寂寞エモーショナルタイム終了。一通り景色を堪能したのでブンブン1号撮影会に入ります。ド派手な赤いバイクは存在感の主張が強くて最高です。山の緑にも海の青にも映えます。ほらこの通り。

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星峠の棚田とブンブン1号

このマーブルイタリアンレッドで画が締まるんですよ。前から横から下から、あらゆる角度で心ゆくまで愛でます。やっぱりうちの子が一番かわいい。なんてはしゃいでいたら事件は起きました。

バンディット、転倒。

5分くらい静止していたにもかかわらず、何も誰も触れていないのに、急に画面奥側へぽてっとバランスを崩したのです。ぽて、なんて字面は可愛いですけど大事件です。道路の奥は崖っぷち。ワイヤーガードレールが守ってくれてなんとか落下は免れました。私の停車位置が悪かったばかりに痛い思いさせてしまってごめんよ〜。タンクに少しすり傷が入りましたが、大事には至りませんでした。本当によかった……。

清津

さて、星峠の棚田をあとに清津峡を目指して走り出します。と、その前に少し通っておきたい道が。

新潟県道560号線 魚沼スカイライン

ネットで目にしたパノラマ風景に魅せられて特に調べもせずルートに追加。しかしこの道、場所によっては非常に狭い&急カーブの連続。初心者には少しきつかったです。

狭い山道を登り抜けると少し開けた両側2車線道路に出ました。広い道路って素敵ね。大は小を兼ねるなんて言うくらいなのですべての道路が整備されて両側2車線以上になってほしいというのが私の願いです。

下方には南魚沼市の風景が広がっていました。道路沿いに設けられた十日町展望台に立ち寄って一息つきます。さすが米所魚沼盆地。街の発展はほどほどに、あとはただただ田んぼが広がるのみ。ここから我々の食する魚沼産コシヒカリが生まれるのですね。感謝。

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南魚沼市

10分ほど走らせたところにもう一つ、魚沼展望台もあったので停車。標高920m、なかなか高いところまで来ました。

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高い場所から見下ろす景色は爽快で最高ですね。世界のすべてを知って掌握した気になれます。馬鹿なので高いところ大好き。でも実は高所恐怖症だったりもします。

魚沼スカイラインを抜けるといよいよ清津峡です。綺麗に観光地化された場所なので人もそれなりにいます。

さて清津峡ですが、その綺麗な景色の裏には紆余曲折あったようです。

元々渓谷内の遊歩道から雄大な景色を眺めることができる観光地だったのですが、1988年に落石事故のため閉鎖。その後、安全に楽しめるようトンネルが建設され、再び賑わいを見せるも、トンネルの単調さからあまり話題にもならず、徐々に観光客数が減少します。そんな折、2018年大地の芸術祭越後妻有トリエンナーレにて、中国出身の建築家兼芸術家マ・ヤンソンの手によってトンネル内がアート空間として改修され、インスタ等のSNSで話題を呼びます。見事に観光客数は増加。現在に至る、というわけです。

根性が捻れているせいで「インスタ映え」なる言葉やそれを狙う観光地、そこに群がる人々をうっすら毛嫌いする傾向にあるのですが、悔しいかな、私もその景観に魅せられた者の一人。やはりこういった視覚効果に優れた場所には行ってみたくなるもので、そういった意味ではアート空間として再生し、見事に観光産業を復活させた清津峡の戦略も、「映え」も馬鹿にはできんのだよ、と素直に反省しております。

確かに写真は素晴らしかったけれども、実際どんなもんだか見せてもらおうじゃないの、写真家任せのがっかりスポットだったら承知しないわよ、と謎に息巻いて清津峡トンネルにイン。大人800円です。ちなみに春・夏・秋の繁忙期は事前予約制になってるらしいのでチェックしてから行かれることをお勧めします。

nakasato-kiyotsu.com

トンネル内は一本の長い通路を幹に、そこから枝分かれした3つの展望所と、最奥のパノラマステーションから構成されています。

第1展望所はノーマルモード。何の仕掛けもない普通のトンネルです。

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第1展望所

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柱状節理

普通に見るだけでも渓谷のダイナミックさに圧倒されます。水が青い。渓谷の岩がとても特徴的ですが、これは柱状節理と呼ばれる、マグマが冷え固まってできた構造です。岩自体は硬いのですが全体としては脆く、崩れやすいらしいです。

第2展望所は黒と白の縞模様からなるトンネル。そしてその真ん中に珍妙に鎮座している、鏡のような壁面からなる謎の小部屋(?)(全体像を写した良い写真が撮れなかった、現地に行ってご確認ください)
この小部屋、なんぞ?ドアがあるな??と疑問に思い入ってみると

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トイレだ!!清津峡の絶景を見ながら気張れるトイレ!壁面はマジックミラーか!
精神が男子中学生で止まっている幼稚な集団なのでマジックミラーという単語に異様に反応し、テンションが高まります。しかし本来の目的で入る人は誰も見当たらず、我々も謎の羞恥心から誰も入りませんでした。シャイな男子中学生なので。

第3展望所は暖色の光と鏡っぽい丸い金属板が織りなす、薄暗く落ち着いた雰囲気の空間。写真でうまく見せるのがなかなか難しいのですが、実際に見てみるともっと面白いです。トンネルの装飾だけでここまでいろいろな表情を演出できるのはすごいと思います。

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第3展望所

そして最後がパノラマステーション。

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パノラマステーション

ちょうど渓谷の岩が途切れた部分にあたるため、空が見え、開けた印象になってます。床面は水による反射、トンネル側面は金属板による反射。自然光だけで輝く空間になっています。実はこの床の水面、縁の部分は水深が浅く、靴で奥まで歩けるようになっています。皆さん奥まで行って写真撮ってました。そりゃ映えるしインスタ載せたくなるわな。わしは撮らんよ。大衆には迎合しないので。

個人的にこのトンネル面白いな、と思ったポイントは、どの展望所も仕掛け、やってること自体は結構単純なところです。縞模様とマジックミラー、オレンジライトと金属板、水と金属板。すべてのトンネルに周囲の光を反射する金属板(全部マジックミラーかな?)が置かれており、それによってトンネルの奥から取り入れる自然光の量を調節し、明暗によってトンネル内部の表情を多様に変える。そこにこそ、このトンネルをデザインしたマ・ヤンソンさんの特徴が出ているような気がします。この方の建築は「自然と建築の融合」をコンセプトにしたものが多く、建物内の明かりを自然光に頼る傾向があるようです。

www.ted.com

おそらくこのトンネルも清津峡自体の景観を損なわず、かつ、ただの単調なトンネルでは経験することのできないアート空間のギリギリのラインを探った結果なのだろうなと思います。だから有彩色のペンキを塗って変に主張する、みたいな派手なことはしてなんじゃないかと。特にパノラマステーションの、あくまで自然が主役で、トンネル内部の仕掛けが引き立て役に過ぎない、主張し過ぎない奥ゆかしさこそ、マ・ヤンソンさんが一番やりたいものなのではないかと思います。ド素人なのでただの私見に過ぎませんけど。

清津峡、目的地にしただけあって見応えのある良い場所でした。

龍ヶ窪

清津峡から1時間ほど走らせたところにある湧水地です。

龍神様が住まうとされ、どれだけ雨が途絶えようとも池が枯れることはない、という伝承があるそうです。それくらい水が豊富に湧き出るということですね。日本の名水100選にも選ばれています。水の透明度がえげつないです。

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龍ヶ窪。圧倒的な碧さ

水面は鏡のように輝き、しかし鏡よりも鮮やかに美しく周囲の景色を映し出しています。こんなに澄み切った水の中なら龍神様も快適ライフが送れるってもんですね。

龍ヶ窪から湧いたお水を飲める場所があったので少しだけいただきました。うまい……というか味がない。良い意味で。いつも京都の塩素マシマシ水道水をゴクゴク飲んでいるので、水ってこんなに無味なのか〜と変に感心してしまいました。

お水を飲ませていただいた感謝の念を込めて龍神様が祀られている拝殿を参拝。今回旅を一緒にしてくれるお友達二人はどちらも建築学科の子なのですが、建築物を見ると血が騒ぎ出すらしく、拝殿の外観をあれこれ調べ「こりゃいろんな時代の造りが混じってるから比較的最近の適当に作られた拝殿だべな」とジャッジ。すげえ。かっけええ。彼らの目にかかればフェイクも見抜けるってわけよ。感銘を受けたわしはおすすめしてくれた建築図版をポチ。帰ったら建築の勉強するよ、マジマジ。積ん読とか本棚の肥やしとか言わないで。

さて、時間も時間だし帰るべ。

帰り道

昨日の反省を生かして暗くなる前に帰るわよ、と意気込んでおりましたが、この日もなんだかんだで走行距離は200km超え。疲れと夕方の冷え込みから体力が消耗していき、エンストなどの小さな運転ミスが目立つようになり、焦らず帰ろう、とのんびり走ります。休憩を挟みながら糸魚川まで戻ったときにはすでに20時前。飲食店はどこも閉まり、夕飯はコンビニ飯に決定。昨日の出発からここまで、マクド→スーパーのお惣菜→コンビニ飯、と、まともなご飯に未だありついていません。
日本海の海鮮は?新潟のお米は?

この日はバイク旅の醍醐味・山道の運転づくめで充実していましたが、そろそろのんびりと新潟の食に舌鼓を打ちたいところ。

果たして新潟の美味には出会えるのでしょうか。3日目に続きます。