旅の記憶って楽しいこともさることながら、アクシデントやしんどかったこともそれ以上に覚えていたりしませんか。
私はまだ鮮明に覚えています。今年の2月に手足を凍りつかせながら四国山地を走り回り、雪にタイヤをハマらせ、リサーチ不足で四国カルストに行き損ねたことを。
四国への執念と情熱が冷めないうちにリベンジランです。今回は尾道からしまなみ海道を通り、四国カルスト、四万十川流域、足摺岬、別子銅山を巡る旅です。
コース概観
2022.08.18【笠岡-尾道】
スケジュール
出発 16:23
到着 17:50
総移動距離 37km
走行ルート
日記
現在訳あって岡山県笠岡市に短期移住中なので京都からではなく笠岡市からのスタートです。昼間の用事を終えて夕方から移動開始。
①寿司金
尾道の商店街を少し入った路地裏にあるお寿司屋さんです。
メニューは非常にシンプルです。一見さんにも優しい。果たしてお値段も優しいのか。
日本酒と一緒に酢の物、さわらのたたき、上にぎりを注文。
月並みな感想ですが全部美味しかったです。お寿司のネタとシャリの厚みがほぼ同じ。贅沢すぎます。
財布の紐をガバガバに緩めてお会計を待っていたのですが、二人合わせて6000円程度でした。コスパ最高。尾道おすすめ飲食店の仲間入りです。
2022.08.19【尾道-四万十】
スケジュール
出発 08:29
到着 21:05
総移動距離 292.2km
走行ルート
日記
8/19はバイク(819)の日。その名に恥じないロングツーリングになりました。
①しまなみ海道
2年前の9月に尾道から一つ先の向島へと渡り、半日かけて自転車で一周した時以来のしまなみ海道でした。
橋を渡る時以外は基本的に山の中を突っ切っていたので意外と海の印象が薄かったです。途中で立ち寄った大島の南端、亀老山展望公園は標高が高く、来島大橋を一望できました。
工業地帯のためか、この辺りは船の往来が盛んです。大小様々な船がひっきりなしに行き来している様子はずっと眺めていられます。
亀老山山頂のこの開放感ある展望台は山に埋め込まれた面白い構造をしているのですが実は隈研吾の初期作品です。
階段を上りきった途端に光がさして海の景色が見える光景がとても爽快なのでぜひ現地に行ってお確かめください。
しまなみ海道総じての感想としては以前あれほど苦労して自転車で回ったにもかかわらずバイクでは1時間弱で渡り切れてしまったという呆気なさがちょっと悲しかったりしました。バイクは大好きですが、テクノロジーってやつは使いようだな、とも思います。
②国道196号
伊予灘を望みながら今治市から松山市へと抜ける国道196号線。交通量はそれほど多くなく、海風が心地よく爽快に走れる道です。
昼食は通り沿いにあるライダーズカフェ・OUT THEREでとりました。
定食やカレーなどメニューが豊富でしたが、バイクに乗って勇ましい気分になっていたのでホットドッグにかじりつきました。外がカリッとしたパンとボリュームのあるソーセージが美味しかったです。
お腹を満たし、楽しくブンブンしていると突然かっこいいコンビナートが出現しました。
どうやら太陽石油の事業所、石油工場らしいです。
太陽石油は愛媛県を基盤とし、西日本を中心に事業展開する石油精製・販売会社です。主にサウジアラビアやマレーシアから原油を輸入しています。国内の工場は二つ、ここ今治の石油工場と山口県宇部市の石油化学工場です。
工場って美を目的として作られていないにもかかわらずどうしてか心惹かれてしまいますね。良い画が撮れて嬉しい。夜景も綺麗で有名なようです。
③四国カルスト
幅1km、長さ約25km、愛媛県・久万高原町と高知県・梼原町の境目付近に広がる石灰岩高原です。標高1000-1400mに位置し、夏でも冷涼な風が吹き抜けます。前回の記事にも書きましたが冬季は通行できません。
高所恐怖症ゆえあまりの絶景に涙を禁じえなかったり、存外傾斜がきつくて坂道発進で5回ほど失敗したりしましたがめげずに進んでいきます。
ジェットコースターのように上下する県道383号線の両脇には北海道や阿蘇を思い出させてくれる穏やかな牧草地帯が広がります。
北海道・阿蘇との違いと言えば、無骨な石灰岩が牧畜のように点在していることでしょうか。鮮やかな緑の中で白く存在感を放つ石灰岩たちが羊の群れのように見えることから、こうしたカルスト台地は羊群原とも呼ばれています。
牧草地帯には牛も放牧されています。ここの牛は春先に県内各地から預けられ、冬になると畜産農家さんのもとへ戻っていく、預託事業の子たちだそうです。
カルストの石灰岩はサンゴ礁の化石から来たものです。元は赤道直下の海底火山上にあったサンゴ礁がフィリピン海プレートに乗って運ばれ、ユーラシアプレートの下に沈み込む際削られて200万年前の四国造山帯隆起運動の際にそのまま押し上げられてきました。
赤道付近のサンゴ礁がゆるゆると長旅してきて今の場所に落ち着いたということですね。
道路脇にはキャンプ施設も充実しており、この日も夏休みの親子連れやカップル、マスツーライダーなどで大変賑わっていました。夏とは思えない涼しさ、走りがいのある道路で納得の人気です。
まちの駅ゆすはらにも半年ぶりに行きました。四国カルストの麓にある街・檮原には隈研吾設計の建築が5つもあります。また出てきました、隈研吾。
隈研吾がなぜ山間の小さな街に建築を造る気になったのか気になって調べてみると、そのきっかけは檮原で仕事をしていた友人に木造の芝居小屋の保存について助言を求められたことだったそうです。地元の職人と仕事をし、地元の素材を使うことに情熱を注いだ隈研吾は昔ながらの日本の技術と触れることができる地方での仕事を疎かにしなかったのだとか。
参考:「消える建築」を求めて ――隈 研吾の挑戦<中編> (1/4) - T JAPAN:The New York Times Style Magazine 公式サイト
東京から相当アクセスの悪い檮原でわざわざ仕事をしているあたり、本当に地方を大事にしているんだろうなと思います。
まとめ
ちょっと張り切って海と山を一気に楽しみました。四国カルストは大満足の絶景でした。リベンジが果たせて本当に良かった。中編に続く。