四国一周折り返し。海は見飽きたので後半は山に向かいます。
2022.02.23【高知-松山】
スケジュール
出発 09:54
到着 18:05
総移動距離 162.6km
日記
不機嫌ブンブン1号
スタートからやってしまいました。暖機をしなかったせいでカブらせてしまった。
しかし心配ご無用。カブりのプロなのでこんなことでは慌てません。ガソリンが乾くまで周辺を探索して大人しく30分ほど待ちます。
探索中に見つけた高知の自販機「たすかる君」をご紹介。
高知のディスカウントストア「佐野屋」が設置しています。そのへんのスーパーより格段に安いです。この価格で運営がどう成り立っているのか謎。たまに10円で販売することもあるらしいです。
良い感じに時間が潰れたので駐車場に戻り再度始動を試みます。が、かかりません。なんやかんやの試行錯誤で1.5時間立ち往生。埒があかん。やむをえずレッカーを呼びました。助けて、RB高知店。
工場に着いて事情を説明します。
「エンジンがですね、こんな感じでかからなくて(ドゥルル」
エンジンかかったわ。デジャブだ……新潟旅行の時もおんなじことしたで……。工場着いた途端にいい顔するのやめてもらえますか。ほんまええ根性してるなこのバイクァ。病院行くと決めた途端に治る腹痛、工場に着くと直るカブり。バイクは持ち主に似るらしい。
四国カルスト
気を取り直してこの日予定していた四国カルストへ出発。
新庄川に沿って山奥へと進んでいきます。新庄川は絶滅種・ニホンカワウソが最後に観測された川です。高知県のご当地キャラ・しんじょう君は新庄川で観測されたニホンカワウソをモチーフにしています(ちなみにしんじょう君が誕生した翌月にニホンカワウソが絶滅した)。道中にはしんじょう君に乗っ取られたローソンもあります。
カルストのど真ん中を突っ切る県道383号線を走りたかったのですが、残念ながら冬季は通行止め。下からカルストを眺めながらの走行になってしまいました。無念。夏にリベンジしたいわね。高知は四万十川や足摺岬など時間の都合上行けなかったスポットがたくさんあるのでまたいつか行きたいです。
2022.02.24【松山-丸亀】
スケジュール
出発 08:29
到着 19:27
総移動距離 184.7km
日記
この日が全旅程の中で一番密度が濃かった気がします。
道後温泉
実は6時から開いています。本館は一部工事中。
今回入ったのは別館・飛鳥乃湯泉。入口地面に謎に派手なペイントが施されています。
浴室では30分に1回プロジェクションマッピングが行われるなど全体的に華々しく、本館との差別化が伺えます。もちろん温泉は気持ちよかったです。
道後温泉といえば館内の随所で見られるとあるマークが気になるんですよね。公式HPに飛んで「愛媛松山 道後温泉」の上にある印をご覧ください。
これは何?うんこかな?脱衣所のロッカーでこのマークを見つけ、全裸で考え込んでしまいました。
〜Thinking Time〜
正解は「湯玉」でした。湯玉が何を指すのかは諸説あって、沸騰時に湧き上がる温泉の泡をイメージしたという説や、神社で見かける宝珠がもとになっている説などが唱えられています。
でもやっぱりうんこじゃない?
石手寺
道後温泉からすぐ、四国88ケ所第51番札所のお寺です。
こちら、Googleマップのレビューで「寺社版アミューズメントパーク」と評されていましたがまさしくその通り、雑多で雑然としています。敷地が広く、どう回るのが正解なのかよくわかりません。洞窟や裏山といった入口が分かりにくい隠しルートが多くて歩きごたえがあります。諸々の入口を見つけられないと「こんなもんか」と勘違いしてすぐ帰ってしまいそう。
お寺のHPも賑やかです。
お寺がカウンセリングを行うのって面白いですね。仏様、出る幕ないじゃん。
余談ですが、沖縄は他の地域よりセラピーが身近でなんちゃって心理療法を体験できるイベントが神社やお寺などで割と日常的に行われているんだとか。仏様の御前で科学の力を振るう構図はそれと通じるものを感じました。
話は石手寺に戻り、第一洞窟(地底マントラ)に入ることにします。
洞窟内、とにかく暗いです。入るなり二手に分かれていて人生のごとく選択を迫られます。まあ結局欲張って引き返し、最初に選ばなかった方の道も歩いたんやけどね。そういう生き様。
電気もほどほどの洞窟内には随所に仏教の有り難い教えが掲げられていました。あさましい人間なので「煩悩を捨てよ」みたいなフレーズを見ると反抗期よろしくイキりたって「やだね、まだ叶ってない願い事が腐るほどあんだよ」と言ってしまいたくなります。お寺は煩悩を捨てる場所、対照的に神社は煩悩にまみれて成就を祈願する場所だと勝手に思っており、それゆえ私はお寺が苦手で、神社が大好きです。いつか逆転する日は来るのか。
お地蔵様が並ぶ洞窟内を抜けると裏山に出ます。なんだか時の流れを感じる佇まいですが実は平成元年竣工。意外と歴史が浅い。
こちら知る人ぞ知るスポットでして、「地底マントラ」で検索するとDPZや観光サイトにレビューが載っています。もっと詳しく知りたい方は調べてみるといいかもしれません。
敷地内はまだまだ謎が多く探索のし甲斐がありそうでしたが時間の都合上やむなく打ち切ってお寺を後にします。入り口付近で名物・やきもちを買って小腹を満たし、次の場所へ。
別子銅山
かつて採鉱が行われていた山です。ここの銅山経営を通して三大財閥の一つ、住友家が発展しました。採鉱本部が置かれていた東平(自称・東洋のマチュピチュ)は切なくなるくらいにさびれきっていて廃墟好きにはもってこい。
……らしいです。東洋のマチュピチュにはたどり着けませんでした。銅山の主要本道から分岐して東平へ至る道路は冬季通行止めになっています。四国カルストといい、やはり2月の山登りは無謀でした。
さらにアクシデントが重なります。
山道入口から10キロ弱進んだところで積雪がひどくなり始め、Uターン決意。しかし路肩の雪に後輪がはまり、身動きが取れなくなりました。アクセルをいくらひねれどもタイヤは空回るばかり。
当然のことながらこんな悪路、車は1台も通りません。自力でこれを解決せねば。
とりあえず靴で雪を払い除けてみたのですが、重みで圧縮されカッチカチに凍った雪がなかなか地面から剥がれません。もはや氷と化しています。かち割るための鈍器が必要です。手持ちの装備で最も攻撃力が高い打撃道具はモバイルバッテリー。
地面に這いつくばり、トンカチを振るうが如くモバイルバッテリーでタイヤ周辺の雪を砕きます。
なんということでしょう。あれほど頑固に固まっていた雪がご覧の通り。無事脱出しました。
交通規制がかかってないのが不思議なほど積雪がひどく、冬に向かうべき場所ではありませんでした。四国カルストと同じく夏にリベンジを希望。
瀬戸内沿岸
大人しく銅山を下りて海へ戻ってきました。高知沿岸はただのっぺりと広がる青い太平洋を臨むばかりでしたが、愛媛〜香川にかけては埋め立て地と煙突、白い煙が視界を遮り、瀬戸内工業地域を肌で実感できます。交通は大型トラックばかり。こうして太平洋と瀬戸内を対比しながら走れるのは面白いです。
工場の会社名を見ると街ごとの特色がよくわかります。四国中央市は製紙、丸亀市は造船が中心のよう。四国中央市とかいう自信丸出しなネーミングの市町村を初めて知ったのですが、wikiを見ると「市が抱える問題」の節の一番上に「市名に対する批判」とあって笑いました。「我こそは」という気合いを感じる上に覚えやすくて私は好きです。
荘内半島
香川県西部に位置する半島です。瀬戸内を眺めながら海岸沿いを走れます。道は最初の方は大したことないのですが、途中から狭まって走行難易度が急上昇します。傾斜16%の急勾配もありました。
運転の大変さはともかく、景色は素晴らしいです。瀬戸内海+夕日+バイク=最高!と思いながら写真撮影。
写真を撮ってたら少し遠くでゴン、と鈍い音が。音のした方へ視線を向けると50m先で乗用車と猪がぶつかって両者睨み合っています。どちらも大怪我はなかったようでそそくさと走り去って行きました。今までも山中で鹿やウサギや猿に飛び出されたことはありましたが、丸腰で猪に遭遇する恐怖たるや比べ物になりません。猪が戻ってくるかもしれないと慌ててバイクにまたがり逃亡。1日で2度も危険な目に遭って、薄れつつあったバイク一人旅の恐ろしさを再認識した日でした。
2022.02.25【丸亀-高松-岡山】
スケジュール
出発 10:53
到着 18:56
総移動距離 111.7km
日記
四国水族館
香川県が丸亀市沿岸に位置する、2020年にオープンしたばかりの新しい水族館です。
館内は瀬戸内海や太平洋、そして四国の清流を再現した水槽がそれぞれテーマごとに並んでいます。
飼育員さんの強い愛と高い画力で素敵な黒板になってはるわ(訳:でも正直解説は目線の高さに印字されてた方が読みやすいよね)。
イルカショーやカワウソへの餌やり披露など、人気動物の見せ物もあります。
工業地帯の造船クレーンや煙突を背景に見るイルカショー、人間の強欲ハッピーセットでゾクゾクします。
よくある都市型水族館といった感じ、京都水族館と同じ匂いがしました。
香川県庁舎
丹下健三が設計した有名建築です。コンクリートなのにどこか木造建築っぽさを感じる外見。
1階には県庁建設に至るまでの写真資料、丹下健三が手掛けた建築のパネル展示、模型などががありました。建築好きな方はぜひ。
瀬戸大橋
初日に諦めた念願の橋走行が叶いました。でも夢って近づいて曖昧さを失うにつれ想像と違うことに気づいて引き返したくなりますよね。
夢が詰まった瀬戸大橋も現実は厳しい。海上を跨ぐ橋は思ったより視界が高くて柵が低いです。そして海風が強い。つまりはめちゃくちゃ怖かったです。風に煽られたら本当に海に落下しかねません。左手に果てしなく広がる瀬戸内海の広さはそのまま絶望の大きさを表しています。頭から血の気がひいていくのを感じつつも懸命にニーグリップで姿勢を保ちます。はやく橋から下りたくて展望台やSAなど全部スルーしました。写真が残っていないことからも楽しむ余裕が皆無だったことが伺えますね。
しかし瀬戸大橋は全長1447mと意外に短く、絶景に涙している間に一瞬で岡山に上陸してしまいました。無事四国脱出です。
四国総括
冬山で苦労したことを除けば概ね快適なバイクライフでした。
四国の醍醐味、うどんと海鮮を満喫したので食の面でも大満足です。そういえば肉をほとんど食べてない。四国グルメで肉ってほとんど聞きませんよね。
実は金なし大学生なので神戸-四国脱出まで全5日中4日、快●CLUBに泊まりました。店内は暖房が効いていたとはいえ、オブラート並みに薄い膝掛けだけでよく凌いだもんよ。●活にありがとう、四国にさよなら、そして岡山・鳥取編に続きます。