ひろみバイクライフ

バイクに乗ってブンブン言わせます

2022.03.29-30_高野山・高野龍神スカイライン・みたらい渓谷

春先の気温の変化を指して三寒四温とはよく言ったものですが、毎年京都の寒の戻りは厳しくてマフラーがいつまでたっても手放せません。

そんなお天道様のご機嫌とは裏腹に暦は着々と春に向かって歩を進めており、3月終わりの学生の街は新入生とその家族、スーツケースが地面を転がる音で溢れかえっています。新天地に心躍らせる若人を見てると眩しくて目を細めてしまいますね。4年前の見知らぬ街も今ではもうすっかり実家顔。私も4月からまた1年生なので瞳の輝きを取り戻したく思います。一旦京都から離れて新鮮な気持ちになりたい。

そうだ、高野山に行ってすべての雑念を払おう。

1日目

スケジュール

2022年3月29日(火)
出発 14:30
到着 19:10

ルート

〈目的地〉

ゲストハウスはちはち

goo.gl

〈走行ルート〉

日記

高野山

この日は昼まで京都で用事があったのでかなり遅いスタートでした。道中夕方の混雑につかまった上、ようやく高野山を登り始めたときにはすでに日没後。「一寸先は闇」を体現したかのような山道が待ち構えていました。昼間走ったら絶対楽しいのに……と思いながらも後には引けず、一番星を眺めながら上を目指します。

そんな孤独なレースでしたが、終点にはライトアップされた大門が待ち構えていました。暗闇に目が慣れていたので煌々と輝く朱が目に入った時の感動はひとしおです。

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事故なく夜の山道を登りきること、これもまた修行。

①はちはち高野山&②丸高

はちはちは今回宿泊したゲストハウス、丸高は夕飯とお酒をいただいたダイニングバーです。

高野山は修行や観光に来る人が多いせいか、街の住人がよそ者に優しくて観光案内に長けていらっしゃった印象があります。はちはちのオーナーさんも丸高のマスターも高野山についてノー知識で突っ込んできた旨を伝えるとおすすめスポットをたくさん教えてくださいました。

丸高での夕飯は高野山の修行とは程遠いイタリアン。しっかりお腹がふくれました。

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ピザとサラダのディナーセット with ハイボール

店内には私以外に男性二人組のお客様がいらっしゃったのですがどちらもお坊さんなんだそう。ここはお坊さんの出会いの場なんだとマスターがおっしゃっていました。お坊さんって意外とアクティブアンドエキサイティング。

③壇上伽藍

丸高のマスターにおすすめしていただいたライトアップスポットです。
空海高野山の土地をひらくにあたって真っ先に着手したのがこの場所なんだそう。

無礼にも酔っ払って鼻歌を歌いながら足を踏み入れたのですが、敷地の中心に位置する根本大塔という建物があまりにも立派で体内のアルコールがすべて吹き飛びました。

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圧がある

ただ大きいってだけで威厳があって平れ伏したくなる建築ってあるんですね……。

写真のように、四面形のお堂(建物下部)の上に円形の塔身(建物上部)がのっかっている造りを多宝塔というのですが、壇上伽藍の根本大塔は日本最古の多宝塔なんだそう。ただし過去に何度か消失しており、現存する建物は昭和初期に再建されたものです。

夜の高野町は人通りが少なく、街を独り占めしているような気分で散策できるので楽しくておすすめです。

2日目

スケジュール

2022年3月30日(水)
出発 8:20
到着 20:31

ルート

〈目的地〉

高野龍神スカイライン

goo.gl

みたらい渓谷

goo.gl

〈走行ルート〉

 

日記

はちはちに宿泊すると朝食がついてきます。素朴だけど丁寧な朝ごはん、何年ぶりかな。

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なくても生きていけるけどあったら寿命がのびるもの、美味しい朝ごはん

早朝にチェックアウトする場合はお弁当に変更してもらえる柔軟なサービス対応つき。はちはちはオーナーさんの対応が丁寧でとても良いゲストハウスでした。お腹を満たしたら早速スタートです。

高野山観光

夜の高野町はものものしさを感じる重厚な佇まいでしたが、快晴の空の下の街並みは清々しく自然と足取りも軽やかになります。高野龍神スカイラインへ向かう前に高野町をもう少し観光することに。

国宝やら重要文化財やら、とにかくすごい仏教美術が収蔵されている日本最古の木造博物館です。

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一般1300円、高校・大学生800円

仏像をじっくり見るのって実ははじめてだったのですがその精巧な作りに感動しっぱなしでした。仏教美術は細部まで丁寧に作られた(描かれた)ものばかりで、どれもこれも精神を統一させてこそ為せる技なんだろうなと思います。

他にも圧倒的腕力を誇る空海が中国から高野山の地まで投げた三鈷杵などが見れます。こういう宗教のめちゃくちゃエピソード好きです。冷笑せずに純粋に感動しながら見ると楽しい。

展示が充実しており、圧倒される作品ばかりで良い意味で回るのに体力を要する博物館でした。

時間がないので金剛峯寺は拝観せずに外観をぬるりと眺めるだけに留めます。

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茅葺屋根がご立派

屋根の上の桶が気になりますね。

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What's this…?

これは天水桶と言って、普段から雨水を溜め、火災時屋根に水をまいて火を食い止めるのだそうです。霊宝館に高野山の年表があったのですが、この町ではかなり高い頻度で落雷等による火災が起きており、天水桶が作られた経緯も頷けます。

金剛峯寺の拝観料はこの通り。

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お大師様早口布教オタクことこうやくん

みんなもlet's join the お大師様ファンクラブ。

  • 奥之院

奥之院はその名の通り少し奥まったところにある信仰の中心地です。

最奥の弘法大師御廟ではいまだに弘法大師空海)が篭って修行を続けられていると言われています。奥に至るまでの道は正規ルートとショートカットの2通りあり、今回は後者を選択しました。

道中は祈念碑や慰霊碑が立ち並んでいます。慰霊碑は個人のものから企業のものまで様々で、ヤクルトや日産などの有名企業はそれぞれ形に工夫を凝らしていました(ヤクルトならヤクルト型、日産は作業着の従業員型など……)。個人的に好きだったのはしろありの慰霊碑です。

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穏やかな殺意

最奥まで到達すると撮影禁止、脱帽といった注意書きの看板が見え、ついに弘法大師御廟に入ります。

苦手であるにもかかわらずなぜか毎度やってしまうお寺参り。
なんだか神社よりお寺の方がソワソワしちゃうんですよね……。神社とお寺、決定的な違いの一つは人の匂いの有無かもしれない、と最近は思っています。神社は拝殿の奥に何もありませんが、お堂はお坊さんがお経を読んでいる。ヒトがいるという妙な俗っぽさ、精神的な近しさが個人的には受け付けられないみたいなんですよね。

苦手な理由のもう一つは作法がいまだによくわからないという点なのでいつか寺マスターに作法や楽しみ方を教わりたいです。

話は弘法大師御廟に戻りますが、手前に大きなお堂があり、その裏手に空海が修行するという質素なお堂があります。この慎ましさこそ修行の心、といった感じ。弘法大師に敬意を払い、静かに手を合わせ、お寺を後にしました。

  • おまけ

高野山の随所に掲げられていた「生かせいのち」というスローガンがなんとなく気に入りました。

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根底にあるのは穏やかな慈悲の心なのに命令形で力強い口調なのがいいと思います。

滞在時間2時間半でざっくりとしか回れませんでしたが高野山入門セットは抑えられたので満足です。

高野龍神スカイライン

標高1000m前後、和歌山-奈良県境付近の尾根線上をひたすら走る爽快スカイラインです。入り口から「二輪走行注意」の看板が三連続で並んでいます。ゾクゾクするわね。傾斜は所々急ですがヘアピンカーブはほとんどなく、基本的に楽しく走れる良い道です。適度に曲がれて適度にスピードを出せるからこそ調子に乗って痛い目を見るタイプの走行注意。京都市内はこういった快適ロードが少ないので羨ましいです。

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標高1100mくらい。雲が近い

3月末に通行解除されたばかりの道路脇には雪がちらほら残っていました(蘇るトラウマ)。春先はやや寒いですが夏は涼しくて快適だと思うのでまた行きたいです。

山を降りると桜並木に温かく出迎えられました。きれい。

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②みたらい渓谷

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わし、渓谷、大好き。人間界から離れた山奥にあるし、何より水が地面を叩く音が好き。あの音を聞くとなぜかリラックスできます。渓谷に至るまでの道は大抵手入れの行き届かない険道や林道ゆえしんどいのですが、喉元すぎて暑さを忘れるタイプなのでつい足を運んでしまいます。

こんなに透き通った水を見るのは久しぶり。

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エメラルドグリーンてやつ

遊歩道があり、上から景色を眺めることもできます。龍ようにいきいきとうねる水の流れはいつまでも見ていられますね。

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良いリフレッシュになりました。

③帰路

夕刻の下道は事故が怖いので高速道路で帰りました。奈良から大阪を経由して京都へ戻るのですが、夜の高速の運転ヤ●ザの多いこと……。車体の半分くらいをこちらの車線に残したまま横スレスレを追い越していくヤ●ザに3台くらい遭遇して流石に腹が立ってしまいました。そんなにのろのろ運転してたわけでもないし、煽られる覚えはないんですが……。こちとら生身の恐怖と風圧に耐えながら走っていることを車のドライバーさんたちにも十分に理解していただきたいです。みんなが思いやりあって運転できると良いね。

総括

総移動距離は1日目約130km(ログつけ忘れ)、2日目334.7kmでした。特に2日目は長時間長距離走行を一人でやりきったので無事帰り着いた時の達成感がありました。

京都の街も心なしか新鮮に見える、知らんけど。気持ちを新たに大学院生活頑張ります。