ひろみバイクライフ

バイクに乗ってブンブン言わせます

2022.11.06_海上自衛隊呉地方隊護衛艦見学

平和教育って都道府県ごとに頻度や内容のばらつきが結構あるみたいですね。ずいぶん前にどこかのアンケート(多分NHKの世論調査)で半数以上の人が原爆投下日を答えられなかったという結果が出たのを見て想像以上の割合にびっくりした覚えがあります。
私の小学校は毎年8/6が登校日で投下時刻に黙祷をし、全校生徒で集まって平和教育のビデオを見たり平和を願う歌を歌ったりしていました。こうした経験は当然皆が記憶し受け継がれていくものだと思っていたのです。

しかし今書いた通り平和教育にはばらつきがあることに加え、大体の人間が忘れっぽいので知らないことも覚えていないことも忘れることも別に責められるようなことではないというのが私個人の考えです。一方で過去の出来事や記憶を残す努力だけはしていくべきではないでしょうか。その一環として今も全国各地に平和や戦争に関する史料館が存在するのは良いことだと思います。特に広島はそうした記憶を風化させないための大規模な施設が複数あって力の入り方が違います。

笠岡から京都へ帰る前日、せっかくならば戦艦大和の地・呉も見ておきたくなったのでやるべきことをすべて放り投げて急遽海上自衛隊呉地方隊に行ってきました。

スケジュール

2022年11月6日(日)

出発 08:52
到着 18:42

ルート

目的地

海上自衛隊 呉地方総監部

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海上自衛隊呉史料館 (てつのくじら館)

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③日招きの里 呉ハイカラ食堂

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走行ルート

日記

海上自衛隊 呉地方総監部

海上自衛隊は10月29日から11月13日までを「フリートウィーク」と称し、横須賀をはじめとした全国各地でイベントを催していました。私が訪ねた11月6日ももちろん期間内。普段は予約が必要な艦艇・庁舎見学が誰でも自由にできます。ちなみに第1、第3日曜日ならば大抵予約して見学できるので気になる人は自衛隊のHPをチェックしてみてください。

www.mod.go.jp

まずは呉地方隊総監部を訪問。

入り口

訓練期間前ということで敷地の至る所に鉄条網が張られていました。「怪我しないように進んでください」と注意喚起を受けながら散策。

入り口からまっすぐ歩くと立派な第一庁舎に突き当たります。

手前の松は碇をイメージして剪定されたらしい。

この庁舎は明治時代の「海軍庁舎は海の玄関口」という考えに則って海と陸の両側に1つずつ出入口があります。上の写真は陸側エントランス。

これは反対にある海側エントランス

海側も陸側と負けず劣らず重厚感があります。海側玄関の左側には防空壕がありました。

入ることはできない

この防空壕はいまだに全貌が解明されておらず、後述の旧電話総合交換所につながっていると言われています。現在も広島工業大学の研究室がその構造を解明中です。

防空壕の行き着く先と言われている旧電話総合交換所

ここが戦時中になんらかの目的で使用されていたことは確かなのですが、用途に関する確定的な文書は発見されていません。数年前(2018年頃)までは施設名が今と異なり「地下作戦室」と呼ばれていましたが、最近になって見つかった史料から当時「電話総合交換所」と呼ばれていたことがわかりました。内壁や扉が非常に厚く、250kgの爆弾の直撃にも耐えうる構造だそうです。

無骨で薄暗い内部。

総監部敷地内はここ以外にもまだまだ謎が多く残っているようで調査は鋭意継続中、その様子は地元ニュース等で確認できます。

newsdig.tbs.co.jp

今後の動向が気になるところです。

さて次は総監部から2kmほど離れたところにある呉基地で艦艇見学です。

入り口。素晴らしい秋晴れ

今回は護衛艦とねと掃海艦えたじまを見ることができました。

護衛艦とね】

外観

全長109m、旧海軍時代から数えて3代目の「とね」です。利根川が名前の由来。搭載武器は5種類。

  • 62口径76ミリ連射砲

自衛艦で一番多く使われている。イタリアで開発された。
  • 3連装短魚雷発射管

高圧空気によって魚雷を発射し、潜水艦を攻撃する
  • 高性能20ミリ機関砲

対艦攻撃用ミサイルの防御に使用される。捜索から攻撃および効果の判定までを完全自動で実施する。

メカメカしい。好き
  • アスロックランチャー

ロケットを装着して射程を延ばした魚雷がこの箱から発射される。速度はマッハ1以上
  • ハープーン

対艦ミサイル。現ボーイング社が開発した。

【掃海艦えたじま】

外観

お顔が怖い溺者人形が積まれている

船体は繊維強化プラスチック(FRP)でできています。これは後にも書きますが、金属だと磁気が機雷のセンサーに反応してしまうためらしいです。

海上自衛隊呉史料館 (てつのくじら館)

向かいにある大和ミュージアムとどちらに入るか迷いましたが、先ほど艦艇を見てしまったので自衛隊への理解を深めるべくてつのくじら館を選びました。

外観が圧倒的迫力。潜水艦がそのまま浮かんでいる

潜水艦のお腹の下を潜り抜けて入場。

1Fは海上自衛隊の歴史、2Fは掃海活動、3Fは潜水艦の紹介がずらりと並びます。順路の最後には外観写真にある本物の潜水艦内に入ることができます。意外にも親子連れや友人と立ち寄る方の姿が多く、皆さんフランクに第二次世界大戦からの記録や海自の活動に触れている様子がとても良かったです。舞鶴の海自関連施設の数倍賑わっていました。

  • 2F:掃海活動

掃海とは、戦争の際海中に設置された機雷を撤去・処分する活動のことです。接触をトリガーに作動する地雷とは異なり、機雷は船の発する音波や磁気を感知して爆発するものもあるなど作動方法の種類が豊富です。

機雷は元来、一定海域内に綿密に設置して船の航行を妨げる防衛的側面を持つ兵器ですが、最近は自走式や追尾式などといった攻撃的側面に磨きがかかり、戦争において大きな役割を果たしているそうです。

太平洋戦争中は日本海域内に米軍が約1万個、日本軍が防御用に約5万個設置したとされており、戦後、作動しなかった機雷の多くは海上自衛隊により撤去されました。

  • 3F:潜水艦紹介

海上自衛隊の潜水艦隊は横須賀と呉にしかなく、また、その教育は呉でしか行われていないのが特徴的です。潜水艦での活動は基本的に隠密ですが、3Fの展示ではその一端を知ることができます。

順路最奥の潜水艦あきしおでは自衛隊の方々がどんな環境下で活動しているのか身をもって体感できました。通路も部屋も当然のように快適さからは縁遠いもので頭が上がりません。また、よくわからん機械だらけの操舵室では潜望鏡を覗くこともできます。鮮明に呉の湾岸が見えて感動しました。

てつのくじら館は貴重でわかりやすい情報が圧倒的密度と量で詰まっていたため見学時間が全く足りませんでした。言い忘れていましたがこれで入館料0円なのが本当にすごい。海底を思わせるダークな館内の雰囲気も良かったです。

③日招きの里 呉ハイカラ食堂

舞鶴に引き続き、海自といえばカレーです。てつのくじら館から徒歩5分のところにあるハイカラ食堂で潜水艦カレーを頼みました。

店内は潜水艦を模した造り。店員さんも制服着用で統一感がありました。

潜水艦カレー(辛口) 950円

あらゆる料理の感想を「おいしかった✌️」で済ませてしまうことが多いんですが今回だけはちゃんと伝えたい。この潜水艦カレー、独特の味がします。甘くて辛いんです。はじめは甘くて後味が辛いんですけど、スプーンを口に入れるたびにこれが繰り返されるので口の中が忙しない。しかもこの甘さが辛口派にも全然不快に感じないタイプで要はめっちゃ美味しかったです。某レビューを見たら他の人たちもこの甘辛交互パンチに結構混乱してます。インパクトがあってお腹も満たせました。

総括

総移動距離 241.5km

瀬戸内沿岸部は走るのが本当に楽しいです。岡山市周辺の国道2号線は恐怖のカーレース場と化していてあんまり……ですが、広島沿岸部(糸崎〜呉)2号線は交通量も景色も穏やかで感嘆の奇声をあげてしまいました。笠岡にいる間にもう少し広島方面を探索すれば良かったかもしれない、というのが最後の最後の気づき。京都に持ち帰る良い思い出ができました。